あんまり覚えてないや

ポップカルチャーを忘れないようにつらつらと。

あなたの風邪はどこから?

朝起きると、左肩に強い違和感があった。あ、これはあれだ。あれにちがいない。やばいぞ。2020年、初めて風邪をひいた。あなたの風邪はどこから?と綾瀬はるかは日本中に問いかけていたが、私の風邪は「左肩」からだ。小学生のころから、左肩が痛くなったり、重さを感じたりすると間違いなく風邪をひいた。なってしまったものは仕方ない。ここから激しい頭痛に襲われ、鼻水が止まらなくなり、のどが痒くなっていがいがし、腹痛に襲われ体外に出るものが全て水となり、少しずつ悪寒が身体中を包み込み、熱が出る。25年間、この身体とも付き合ってきたから、それぐらい覚悟はできている。さあ風邪よ、心してかかってこいや。ぼーっとふわふわした身体に鞭を打ち、仕事へと向かった。午前中は、腹痛との闘いだった。汚い表現で申し訳ないが、お正月に食べた御馳走は全部水となった。例えではなくほんとに水になった。何とか腹痛との闘いを乗り越え、頭痛、鼻水、悪寒の一斉攻撃に耐え忍んだ。マスクを装着し、できる限り人とは接触をしない最大限の配慮で仕事をやり遂げた時には、身体中が燃えるように熱かった。パソコンが一生懸命起動しているものの、固まった時に発する熱のようなあれだ。これからはパソコンが固まったら少しは優しく労わってやろうと、2秒ほど思えたりするから人は時々風邪をひいた方がいいのかもしれない。なんとか帰宅して、コンビニで泣きながら買ったゼリーを大切に食べた。味はまったくしなかったけど、のど越しが柔らかくて優しくて、それだけでうまかった。風邪薬を飲んで、すぐに眠りについた。風邪との闘いも終わりに近づいている。風邪をひくたびに考えることがある。風邪をひいた時に必ず同じ夢を見るのだが、これは全人類皆同じなのでしょうか?私は風邪をひくと必ず「自分がいる部屋が少しずつ浸水してきて、水がいっぱいになった部屋で苦しむ」という夢をみる。この夢を見ると、ああ風邪をひいてしまったな。けどこの夢を見ることは、もうそろそろ元気になるなと確信する。今回も同じ夢を見た。もう何度目の再放送だろうか。たっぷり12時間浸水の夢フルコースを堪能し、翌朝にはけろっと回復していた。今回もしんどい戦いだった。もうしばらくはあの再放送はこりごりなので、これからは多めにR1を飲むことにします。

土方宏史『さよなら、テレビ』

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業界をざわつかせたドキュメンタリーの劇場版。

テレビ局の局員・契約社員制作会社の派遣社員の3つの視点から、今のテレビ報道の抱える闇をひも解かれていき、考えさせられた。その中でも「ドキュメンタリーの現実って何?」という契約社員の記者の言葉が印象的だった。派遣の渡辺君はこっちがひやひやするほど情けなくてヘラヘラしてるけど、どこか憎めない素敵なキャラだったなー渡辺君がやらかすたびに、客席からため息とか笑い声が生まれて面白かった。彼が主人公の映画といっても過言ではないと思う。猫の殺処分と派遣切りが同時進行で描かれるところも深く考えさせられた。ドキュメンタリーって何だ?演出って何だ?たくさんの問いが生まれたな。インパクトがとてつもないすごいドキュメンタリーです。
 

ジャルジャル『大晦日に108回もジャルってんじゃねえよ』

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晦日ジャルジャルのライブに行ってきました。「108本のコント」「10時08分開始」「チケット10800円」と除夜の鐘の「108」にちなんだ超大型ライブ!発想や世界観がジャルジャル過ぎて、年の最後の笑い締めとして行ければいいなーとチケットを申し込んだところ見事当選!8時間を超えるライブになるとのことだったので、1週間前から体調をしっかり整え、いざ大阪へ!
途中に休憩をはさみながらも9時間近くのライブは圧巻で最高にしびれました!キングオブコントで披露した「野球部」や、M-1で伝説となった「ピンポンパンゲーム」といった近年のジャルジャルの代表作から、往年の名作「歌い方が40代のやつ」や「チャラ男番長」「何回も家入ってくるやつ」、さらには2019年のキングオブコントでケガをしていなければ披露していた「体操走りなやつ」まで!さすが持ちネタ8000本のコント師と思わせてくれるほどの、ネタのバラエティの豊富さは圧巻で、まったく飽きさせない素晴らしい構成。 もうほんとにジャルジャルは最高だ。ずっと観ていたいと思うほど幸せな時間でした。ネタの幕間で流れる音楽が、お経やヒップホップに合わせてひたすら「ジャルジャル」と唱え続けるものだったんですが、完全にジャルジャル脳に仕上がって2019年を最高に締めくくることができました。ラストのネタに近づくにつれて、ジャルジャルとお客さんで最後まで一緒に笑って乗り切ろうとする一体感が印象的で、今までのライブでは体験できなかったただならぬ空気感は一生忘れられないと思います。ありがとうジャルジャル

中川龍太郎監督『わたしは光をにぎっている』

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中川龍太郎監督の最新作「わたしは光をのいぎっている」を観てきました。
四月の永い夢」や「走れ、絶望に追いつかれない速さで」などを世に送り出してきた監督で、
青春ものや女の子をチャーミングに撮らせれば間違いなく若手でトップクラスだと思っております。
そして主演は松本穂香!!さらには渡辺大地、光石研と最高の顔ぶれでたまりません…!

いやあ、面白かった!!
主人公の澪が、お湯の中に手を入れ温度を確かめるシーンが印象的でした。
両親を早くに亡くし、祖母と20歳まで一緒に暮らしてきた澪が、
祖母の入院をきっかけに上京し、仕事探しや人間関係に戸惑い迷いながらも少しづつ成長し、
色んな人とふれあい、助け合いながら少しずつ前に進んできて…
やっとみつけた東京でのかけがえのない場所=銭湯で、
窓から射す光が彼女に包まれた時には涙が止まりませんでした。

みかん湯で喜んだり、初めて食べるすっぽんに緊張したり、エチオピア料理屋でエチオピア人とダンスを踊ったり…映画全体を通して東京の下町で暮らすなんでもな人々の日常が描かれているのですが「都市再開発」という裏テーマも丁寧に描かれているのが印象的でした。
私たちには、かけがえのない居場所があって、だけど時代は少しずつ変わりつつあって。
そんな時に、光となって私たちを導いてくれるものって何なんだろうと考えさせられました。

中川監督は「ここに人が生きている」という人の質感というか温かさを描くのが本当に上手い。
松本穂香さんの今回はほとんどセリフのない役立ったのですが、あのたたずまいや寂しい表情は22歳とは思えない演技で素晴らしかった。

銭湯を舞台にした作品は個人的に大好きなんですが、また1つ大切な作品が増えました。

千鳥のニッポンハッピーチャンネル

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千鳥がまたやってくれました。とんでもないお笑いを生み出しましたよ。
いやあ、こんな怪物バラエティをAmazonプライムでやられちゃうとたまらないですよね。
 
千鳥が日本に幸せを届けるために、色んな事に挑戦するバラエティなんですが、
大悟が日本のトレンディドラマ復興を掲げ、監督&主演を務めた「ロングロード」というドラマを見届ける企画がほんと最高すぎました・・・ 演出はドキュメンタルや野爆のワールドチャネリングの和田英智作家には今の日本の面白いお笑い番組に必ずいる大井洋一というお笑いストロングスタイル!もうそれだけで泣いちゃいます。
 
大悟の天才的なお笑い演出にノブがツッコんでいくという、千鳥の持ち味キレッキレに発揮される最高の方程式で面白くないわけがないです!ドラマのキャストは、ダイアンのユースケと津田、足立梨花吉川友という最高の布陣に加え、友情出演も豪華!OPも絶妙にトレンディで、1回観たら曲が無限ループされちゃうぐらい魔曲なんです・・・!ダイアンの2人も最高におもしろい!千鳥の単独ライブで恒例となりつつある超大作演劇「大悟道」が好きすぎてもっとみたいと思っていたのですが、ロングロードは大悟道の進化版!早めのクリスマスプレゼントだと思ってるので、あと5回は見返します!
 

金子茂樹『俺の話は長い』  

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『俺の話は長い』  が本当に面白い!
日テレのドラマで、脚本は「プロポーズ大作戦」や「きょうは会社休みます。」の金子茂樹ということで楽しみにしていたのですが、狂おしいほど好きです。
生田斗真安田顕小池栄子という最高の布陣に加え、2019年度最高の推しの清原伽耶のキャスティングはスタンディングオベーションもの。本当に最高です・・・

家族をテーマにした毎週2本立てのオムニバスドラマなんですが、優しくて、せつなくて、甘酸っぱくて、温かくて・・・シンプルな物語の中に感情をぎゅっと掴まれるようなメッセージが詰まってます。
登場人物は皆、無職・失恋・不登校・再婚・血のつながらない親子関係など、
どうしようもなくて、全てを放り出して逃げ出したくなるような「生きづらさ」を抱えているのだけど、
夜中にアイスを買いに自転車でコンビニに行くのが最高にワクワクしたり、
ずる休みした時のお昼に食べる焼きそばが最高に美味しかったり、
亡くなったお父さんの好物を食べて、懐かしくてあったかい気持ちになったり、
ラジオで初めてメールが読まれて、飛び跳ねそうになるほどの嬉しくなったり・・・
このドラマには、インスタ栄えもしないありふれた日常のワンシーンだけど、
埋もれてしまいがちな幸せのタネが丁寧に描かれて、
見終わったあと不思議と心が軽くなるようなドラマです。

そんな中でも、最新回の「毛蟹と体温計」のエピソードを観て、このドラマを観てきてよかった!絶対にDVDボックスを買おう!と心に誓うほど素晴らしいお話でした・・・
いやあ本当にいいドラマ!清原伽耶ちゃんは最高だし、劇中で彼女が聞いているラジオのパーソナリティがマシガンズっていうのがまたたまらない!
最後まで心して見届けたいです。

さもえど太郎『Artiste』

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最近お気に入りの漫画を紹介したいと思います。
ざっくりとあらすじから・・・
 
舞台は芸術の街、パリ。
料理人の青年と、彼の周りにいる料理人をはじめとした個性的な “ 芸術家=アルティスト" たちのお話。主人公のジルベールは、絶対的味覚感を持つ天才肌な両人だが、引っ込み思案の性格が仇となってトラブルを起こしてしまい、皿洗いとしてくすぶる日々・・・そんな時に、自由気ままな新人皿洗いのマルコとの出会い、少しずつ世界が変わり始める・・・
 
といったお話なんですが、もう本当に最高なんです!登場人物がみんなすごく魅力的!
ヘタレでビビりで引っ込み思案、だけどどこか頑固でマイペースで天才的な味覚と嗅覚を持つ主人公ジル。
ジルが働くお店には。人見知りなマッチョなパティシエ、本当は仲間思い出で優しいけど前のお店でひどい濡れ衣を着せられ人間不信になったシェフや、精密機械的なクオリティで味を再現できるが完璧主義者でルーティン通りにしか動けず仲間とぶつかりがちなシェフがいて。
ジルが暮らす芸術家だけが住むことができるアパートには、不器用だけど憎めないバイオリニストや画家たちが暮らし、同じ芸術を志すものとして助け合い、支えあい、刺激を与えあいながら切磋琢磨して・・・
 
誰もがどこか “ 欠けている " けど、
不器用ながらもまっすぐぶつかりあい、支えあい、補い合って、
夢にむかって歩み続けるジルたちの姿が本当に愛おしい。
 
セリフ運びも抜群で、優しく、温かく、そして時に心にじんわりと広がっていくような私たちが普段見過ごしてしまいがちな大切なメッセージを届けてくれます。
構成もシンプルで、テンポもよく、それぞれのキャラクターの描き方が憎らしいほど上手い。どの登場人物もはじめは「?」となるような言動があり、少し違和感を覚えるだが、過去を丁寧にひも解いていくので、色んな目線が見えてきて、いつのまにか?に!が加わり「!?」となっていてすごくいい。だからこそ、どのキャラクターも思い入れが強くなり、愛してしまう。
 
伏線というか、謎の仕掛け方が絶妙で、今後の展開が本当に楽しみ!
何度も繰り返したくなるような素敵な作品です。新刊が楽しみだ!
 

 

Artiste 1巻: バンチコミックス

Artiste 1巻: バンチコミックス