あんまり覚えてないや

ポップカルチャーを忘れないようにつらつらと。

中川龍太郎監督『わたしは光をにぎっている』

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中川龍太郎監督の最新作「わたしは光をのいぎっている」を観てきました。
四月の永い夢」や「走れ、絶望に追いつかれない速さで」などを世に送り出してきた監督で、
青春ものや女の子をチャーミングに撮らせれば間違いなく若手でトップクラスだと思っております。
そして主演は松本穂香!!さらには渡辺大地、光石研と最高の顔ぶれでたまりません…!

いやあ、面白かった!!
主人公の澪が、お湯の中に手を入れ温度を確かめるシーンが印象的でした。
両親を早くに亡くし、祖母と20歳まで一緒に暮らしてきた澪が、
祖母の入院をきっかけに上京し、仕事探しや人間関係に戸惑い迷いながらも少しづつ成長し、
色んな人とふれあい、助け合いながら少しずつ前に進んできて…
やっとみつけた東京でのかけがえのない場所=銭湯で、
窓から射す光が彼女に包まれた時には涙が止まりませんでした。

みかん湯で喜んだり、初めて食べるすっぽんに緊張したり、エチオピア料理屋でエチオピア人とダンスを踊ったり…映画全体を通して東京の下町で暮らすなんでもな人々の日常が描かれているのですが「都市再開発」という裏テーマも丁寧に描かれているのが印象的でした。
私たちには、かけがえのない居場所があって、だけど時代は少しずつ変わりつつあって。
そんな時に、光となって私たちを導いてくれるものって何なんだろうと考えさせられました。

中川監督は「ここに人が生きている」という人の質感というか温かさを描くのが本当に上手い。
松本穂香さんの今回はほとんどセリフのない役立ったのですが、あのたたずまいや寂しい表情は22歳とは思えない演技で素晴らしかった。

銭湯を舞台にした作品は個人的に大好きなんですが、また1つ大切な作品が増えました。