あんまり覚えてないや

ポップカルチャーを忘れないようにつらつらと。

監督 坂本欣弘・脚本 北川亜矢子『もみの家』

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学校に行けなくなった主人公・彩花(南沙良)は、若者たちの自立を後押しする施設「もみの家」で過ごすことに。  もみの家の主・佐藤(緒形直人)に温かく迎えられ、自然に囲まれた施設で過ごすうちに自分の気持ちと向き合うようになる・・・という話。本当に心から感動した近年では5本の指に入るほどの邦画名作です。人と人が向き合うということ、人を好きになること、些細なことでお腹を抱えるほど大笑いすること、汗をかいてから食べるご飯が涙が出るほど美味しいこと、大切な人との別れが胸が苦しくなるほど辛いこと、人が死ぬということ、そして人が生まれるということ。普段見過ごされがちな日常の1コマ1コマを丁寧に紡ぎ出し、日々を全うするということを優しく描かれています。

主人公の南沙良が本当に良かった。最初は何もかも目を背いていたが、人と触れ合い、あたたかさを知ることで少しずつ殻が破れていき、日々を全うすることにしっかり目を向けられるようになり、大切な人が去る悲しさや何かに没頭して日々を全うする尊さを知り、最後は人が生まれるということに対面して人知れず涙を流す姿が美しい。

そして、近所のおばあちゃん・ハナエ役の佐々木すみ江さんが物語を優しく彩る存在で印象的でした。ハナエさんが伝えてくれる言葉が本当に温かくて優しくて愛で溢れていました。ハナエさんが亡くなるまで過ごした彩花との最後の数か月が、人が生まれ、日々を丁寧に全うすることの尊さを私たちに教えてくれている気がして、最期のシーンは彩花と同じぐらい心を掴まれました。残念ながら、佐々木さんは現実に昨年亡くなっております。  改めて今回の作品を通じて、  

『女の道は一本道でございます』(2008年・NHK大河ドラマ篤姫」より)

彼女の代表作である篤姫での名台詞の強さを感じました。女優道を全うされた佐々木さん心からご冥福をお祈り致します。