あんまり覚えてないや

ポップカルチャーを忘れないようにつらつらと。

箱田優子『ブルーアワーにぶっ飛ばす』

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夏帆が主演をやると聞いてから、ずっと楽しみだったこの作品。
本当に最高でした・・・夏帆の代表作として刻まれるんじゃないでしょうか?

この映画の「ズレ」の描き方が最高に素晴らしかった。

誰もが経験する、最強で無敵で何にでもなれる気がした子ども時代。
そんな宝物のような日々と、様々な社会の柵や枷の生きづらさに追い込まれる日々。
子どもから大人になる時に必ず襲い掛かってくる現実と理想の「ズレ」
夏帆が普段話す標準語と、両親と話すときに出る茨城弁、
シムウンギョンのたどたどしいカタコトのニホンゴなどの言葉の「ズレ」
唐突もなく出てくる仏像や虫の裏側のズームなど、
予定調和にはいかない不調和なリズムで描かれるインサートカットの「ズレ」

こうした「ズレ」が一貫して描かれ、ズレを抱え、生きづらさにもがき続ける主人公の姿、
実家から東京へ帰る最後のシーンで発せられた「ぜんっぜん寂しくなくて寂しい」というセリフに胸を打たれました。

誰もがズレを抱えて生きていて、
そのズレに苦しんで、悩んで、いっぱい泣いて。
だけど、日々の生きづらさに負けないように、泥臭く、がむしゃらに生きて。
そんな私たちに救いの手を差し伸べてくれるようなシムウンギョンのこのセリフ、

 

「もともとダサいっすよ。ダセえの最高じゃないっすか。生きてるって感じで」


本当に最高の映画でした。
ありがとう夏帆!!